東京光学(トプコンTOPCON)製 二眼レフ PRIMO-JR の使いやすさに驚いた

コロナ自粛で生じた時間で、しばらくお休みだったベスト判(127フィルム)二眼レフ達を再び取り出したり、期限切れフィルムで撮影したりしている。

個人的なお気に入りは若かりし美智子妃殿下が使っておられた Yashica-44 なのだが、今回、2ロールほどYashica-44で撮影した後に東京光学(トプコン)製のPRIMO-JR を使ってみて、今更ではあるが、改めて感心した点があった。



①作りの精度の高さと動作機構
Yashica-44と比べての話だが、同様にミニサイズの二眼レフであるにも関わらず、オートコッキング機構(フィルム巻き上げと同時にシャッターがチャージされる機能)を備えている。大した事では無いような感じがするかも知れないが、オートコッキングは単に手間を省くだけでは無く、二重露光やコマ飛びといった問題を操作プロセス事態で解決してしまう、大きな技術進歩なのだ。不注意な人でも問題を解決出来る自動プロセス化の考えは現代でも参考になる。巻き上げもスムースで、Yashica と比べて高級感がある。

便利なセルフコッキング。今回革が劣化で剥がれたので修繕した。
 
②明るいレンズ
多くの二眼レフの絞り開放値が f/3.5 であり、あるいはview側のレンズだけはf/2.8 であるのに対し、PRIMO-JRはtake側のレンズにもf/2.8 の明るいレンズを採用している。暗い室内の撮影では重宝したはずだ。このカメラにはフラッシュ用のシューつらついておらず、トプコンの自信の程がうかがえる。「このカメラはフラッシュなしでも使えますよ!」といわんばかりだ。明るくすると各種光学収差の問題が生じたはずだが、解決する技術を持っていた事が想像出来る。

View側 Take側とも明るいレンズ。Rolleiのブルーフィルターは色調補正用。


③より短い最短撮影距離
旧いカメラ達は近接撮影が苦手だ。レンズやヘリコイド設計上の難易度があったのだろう。
そんな中、このカメラの最短撮影距離は約60cm。焦点距離は6cmであり、現代の基準ではそれでも「寄れない」部類にはなるが当時としてはかなり寄れる部類だ。ちなみにYashica-44 は同じ焦点距離で最短撮影距離は90cm、芸術品のようなMinolta miniflexは最短撮影距離 100cmだ。


こちらは兄弟機のSAWYER's MARK Ⅳ
あのMinolta よりもスペック上は明らかに勝っており(Minolta miniflex は仕上げが芸術品だが)、こんな優秀なメーカであった東京光学はなぜ市場から消えてしまったのだろうか疑問に感じて調べたところ、現在でもトプコンは中堅光学機器メーカーとして立派に存続している事が分かり、少し安心した。
1981年に消費者向けのカメラ事業からは撤退したらしく、1981年頃と言えば美しかった伝統的な一眼レフからプラスティックの電子化製品へと変貌していく時代だったはず。そんな中、トプコンとしては得意な光学事業に特化する道を選択したのだろう。

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