Yashica 44 備忘録 (その2)
前回のブログで記録しなかった、Yashica 44へのベスト判(127)フィルムの装着の仕方や撮影時の注意点について記録する。
Yashica 44 で使用するベスト判(127)フィルムは、メーカー生産品は終了となり、既に社会的役割を終えたフォーマットだ。1940~1960年頃の、ブローニー判(120)ロールフィルムの大型なカメラが主流の時代に、携帯性や女性ユーザー向け用途に、手軽に持ち運べる小型カメラを目指して開発された。文字通り「ベストのポケットに入る」という意味から通称「ベスト判」とも呼称された。
120ブローニー判のMamiya Cシリーズや Rolleiflex と比べるとかなり小型のカメラだが、実際Yashica 44 やその原型のRolleiflex 44 といった箱型カメラがベストに入る訳は無く、同じくベスト判フォーマットが使用できる、蛇腹を使った折り畳み式(スプリング式とも言う)のカメラがベスト判の本来の由来だろう。
127フォーマットのカメラは初期はレンズも蛇腹などで折りたため、機能もシンプルな薄型カメラが先行して販売されていたらしく、そういったカメラ達は現在のコンデジのようにベストに入れようと思えば入れられたのかもしれない。
さて、127フィルムの装着だが、35mm判のカートリッジ式パトレーネとは違い、巻き取り軸(スプール)にフィルムと斜光紙をグルグル巻き付けただけの原始的な構造なので感光し易く、基本的にカメラへの装着も取り外しも暗所でやる事が望ましい。このブログ記事では記録説明のため明所で実施しているが普段は暗室光下で取り扱っている。
フィルム付スプール、空スプール各々の装着スペースにはスプールの軸の切り込みにはめ込む凸線が片側にあるので、スプール切れ込みの向きが合うように事前に確認しておく事。暗所で狭いスペースで手さぐりでこの辺の調整をするのは難儀だ。
下の写真の真ん中赤い筆軸でし指し示すところを引っ張るとカメラの外側に飛び出てスペースが広がりスプールを入れられるようになるので、反対側の凸線とスプール切れ込みを合わせて差し込み、引き出した反対側を戻すとパチンとはまる。この操作一つとっても慣れてないと大変。下の写真は空スプール側だが、フィルム付スプール側も同様に装着する。
フィルム側中央のベロ紙(飛び出してる部分)を空スプール中央に差し込みゆっくり
空巻きしながら巻きつける。(と書くのは簡単だが、まっすぐ小さなスペースでゆがまないように巻きつけるのはこれまた大変。美智子妃殿下もこんな苦労されていたんですね。昔の方々は凄い。)
フィルムの遮光紙背面には色々文字や記号が印刷あって、撮影者はこれを参考にフィルムの巻き上げ具合を確認するそうなのだが、ちょっと引き出して下の写真で説明しよう。ちなみにフィルムは現状唯一入手可能なかわうそ商店取扱いの127。
これは使用済フィルムを使っている。未使用フィルムでマネしないように。 |
左側にSTARTの文字があるが「とりあえずここまで丁寧に巻いてね」の印と理解している。その下にあるA-8/127 は「8枚撮り127フィルム」だろう。これが曲者で、4×4スクエアサイズの二眼レフでは12枚撮れるのだが、基本的に8枚撮り用(つまり、横長4×6サイズカメラ用)に背面の記号が印字されている。数字が1から順番に縦3列に並んでいるがこれはカメラ裏蓋の赤窓から撮影枚数カウント確認用に印字されたもの。一番下にあるずれた場所に番号があるのが4×4サイズ用に12まで番号が振られたものだが、基本的に赤窓はカメラの真ん中にあるのが常識なので、4×4サイズ用のカウントは全く使えない。
上の写真で赤軸の筆が乗せてあるところがフィルム面の始まる端なので→マークがこれを示す。■ ■ ■ は「そろそろ次のカウントですよ」の意味だ。いずれもYashica 44ではいずれも場所がずれているので、最初の ■ ■ ■ の2つ目の ■ 位で1枚目撮影
可能という事だ。そのあとはひたすら場所がずれていくので全く赤窓から見える情報は役に立たない。
これは使用済フィルムを使っている。未使用フィルムでマネしないように。 |
裏蓋を占めた赤窓からだと本来こんな感じで確認できる。■が見えた時点で1枚目。 |
下の写真の赤筆軸で示したポッチを押す巻き上げ軸上のカウント窓が1にリセットされる。
フィルムカウント 1 の巻き上げ開始位置からの最初の巻き上げ量と最後の12枚目の巻き上げ量の違いが下の写真で確認できる。倍位の差がある。
要はフィルムカウントにより各スプールの直径が変わっていくので、これだけ巻き上げ量を変える必要があるわけだ。なので実際の撮影枚数とカメラ側のカウント情報がずれていると撮影コマ同士が重なってしまったりする事になる。35mm判の一眼レフやレンジファインダー機では全く意識しなかったポイントになる。フィルム送り量が自信無くなった時は裏蓋の赤窓から確認する奥の手があるが、かわうそ商店の127フィルムでは上に書いた問題があるので、4×4 サイズのカメラでは赤窓情報は最初の位置決め以外には使えない。
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