ウクライナからやって来たスイーツ、CUSHIONS

 戦禍報道が続くウクライナ、ロシアを挟んで日本と真逆に位置する遠い国を私にとって身近に感じさせてくれていたスイーツがある。Grona社のCUSHIONSというシュガーパイだ。

初めてスーパーの店頭で目にしたとき、パッケージにあしらわれた美しい刺繍に惹かれて購入した。無論パイは大好物なのだが、三種類の味(チェリー、イチゴ、チョコレート)を表わす刺繍があまりに素敵なので、亡くなった妻と一緒に、写真を撮ったり、パッケージをきれいに保存したりしていた。調べたところ、ウクライナの名産品が刺繍である事もその時に知った。素敵なものを作る国だなと関心した一方、チェルノブイリ原発を管理する国である事を思い出したりもしていた。

三つの味のうちでどれが一番の好みか、妻と良く話をしたもんだが、どの味も個性的で美味しく、チェリーが一番だ!と思ったあとにチョコレートを食すると「やはりこれも外せない!」となり、結局二人とも決められなかった記憶がある。ちょっとした、二人の間でのブームだった。

戦禍報道が続く現在も近隣のスーパーに陳列されているので、ウクライナの人たちへの応援の気持ちを込めて今再び良く買っている。シュガーパイの上にぽっかりと空いた穴はジャムの注入口で、日本製ならこの辺は見えないように工夫するところだが、味が良ければすべて良し、だ。日本企業のようなスペース稼ぎの過剰包装は一切無しで、実質がぎっちりパッケージされている。日本のお菓子はパッケージの半分くらいが空気の場合もままあり、残念だけれど国力(あるいは精神)の劣化を感じる昨今だ。

何も出来ない自分だが、今日もCUSHIONSを口にして在りし日々を思い起こしながら、遠いウクライナの平和を祈る。

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