Minolta-35 MODEL II + Super Rokkor 45mm f:2.8 (1)

俗にカメオタ達に「梅鉢」と呼ばれる 千代田光学(Chiyoko) Super Rokkor 45mm f:2.8 レンズを数年来物色していた。

梅鉢家紋:

Leica L39マウントのビンテージレンズだ。Minoltaロゴの純正フードも含め、安価でかつ良いものはなかなか出ない。研磨剤でツルピカに磨き上げて「美品です!」なんて高値出品しているのも見かける。
先日たまたま古物商出品の出物を発見して落札、数年越しでようやく入手した。何と本体のLeica L39マウントMinolta-35 MODEL IIとセットで、フードまで付いていた。出品者によると「ジャンク」品との事なので、「美品です!」品よりはるかに安価で入手出来た。

私の経験上、古物商は多岐にわたる品を扱っているため、ぱっと見の汚れが目立っており、操作確認が複雑なものは「ジャンク」扱いで出品される事が多い。ここで目利きが重要となるわけで、頭の中では多変量ベイズモデルが立ち上がり、「出物」の判断となった。

届いて開封すると、まず最初に、国内のビンテージ物にありがちの「カビ臭」が全くしない。この段階で大当たりはほぼ確定だ。
品には古びた三脚も革ケースとともに付いており、おそらくはワンオーナーもので、随分前に使われなくなった後、死蔵に近い状態で湿気の少ない場所に長期保管されていたものだろう。ボディー、レンズとも60年の歳月で全体にくすんでしまっているので確かに一見だけすれば「ジャンク」にも見える。

素性は各種液剤での磨きの後ですぐに分かった。シャッター幕、シャッタースピード、セルフタイマー、レンジファインダー二重像、レンズ、絞り、ヘリコイド、すべてほぼ完調だ。
唯一レンズフードのみ、経年の金属腐食でダメージが出ていた。軽量のこのフードはアルミ含量が多そうで腐食に弱かったのだろう。



本来欲しかったのはレンズだけでカメラボディーはあくまでおまけだったのだが、綺麗に磨き上げた後のMinolta-35 ボディーの造形美と精緻なメカニズム、更にはミラーレスの心地よいシャッター音にすっかり魅了されてしまった。敗戦から10年も経っていない頃の製造で、お手本とするライカがあったとは言え、全然本家に品質で負けていないし、オリジナリティーも感じる逸品だ。

金属腐食が起きていた純正フードはアルコールとピカールケアーで磨くも、今一つな見栄え。このフードは全体に樹脂をコートしてあり、これで錆を防ぐ考えなのだが、樹脂コートの下の金属表面側から腐食しているため、樹脂コートの上からはサビも落とす事が出来ず、やっかいな状態なのだ(以前入手した当時物のS Nikkorのメタルフードも同様の処理がしてあり、やはり同様の結果となっていた)。



最終的には実家から回収した大衆カメラMinolta A2の純正フードとサイズが同じであったのでそちらに付け替える事とした。Minolta A2純正フードはMinolta-35のものとデザインはほぼ同じだが、後年製造のためか、素材はアルミ含量の少なそうな硬質のステンレスで表面のバフ仕上げもより美しい。その上何と内側は起毛クロス張りにグレードアップしている。高度経済成長期前と後の違いだろうか。

すっかりやる気モードで、ライカMグリップも装着した臨戦態勢のMinolta-35。
えらく恰好よいな。




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