銀座 Nikon で垣間見たもの
「モノよりコト。」という言葉を最近目にする。 これは「モノよりヒト。」と言い換えても良いかも知れない。 急速に斜陽化している日本のお家芸、カメラ業界にも必要な視点ではなかろうか。 最近Nikkor レンズを 銀座Nikonでオーバーホールに出した。Nikon 正規のオーバーホールなのでもちろんきちんと仕上げて頂いた。写りへの影響があるかどうかは分らなかったが、見た目に気になっていた、何十年か分の細かいチリもスッキリ綺麗にして頂いた。 レンズの分解整備であれば、街の修理屋さんにお願いする手もあるのだが、そこを敢えての銀座Nikon。セレブな特別空間を演出する銀座SIX、そのすぐ隣に店舗を構える銀座Nikonだ。Leica同様、銀座の好位置にショールームを構えているという事は必然的な意図があると思っていた。 こちらとしては、銀座に行くのと、新宿や池袋、渋谷に行くのとでは気持ちの持ち方からして違う。背筋もより伸びるし、行き交う人々の雰囲気だって違う。 驚いたのは銀座Nikonでのオーバーホールされたレンズの受け渡しの時だ。一通りの説明は良いとして、その後レンズをプチプチでぐるっと巻いたのもまあ良いとして、次にそいつを太い輪ゴムでぐるっと巻かれた時点でどっきりしたが、まあ何か、Nikonロゴの箱や紙袋とは行かないまでも、何かに入れて手渡してもらえる事を期待してこちらとしてはじっと待ったが、Nikonのスタッフはカウンターの向こうで身じろぎもしない。「さあ、どうぞ」と無言で言っている。 え?ここって隣はあの銀座SIXなのに、プチプチを輪ゴムで適当に巻いた状態で納品?! ビジネス用ダレスバッグで来店しているのに、俺がもし洒落たエコバックを持参してなかったら、プチプチ輪ゴム巻のレンズを2本手で抱えて銀座を歩けと?!?! 何万円も支払った客になんと冷酷な・・。 聞けば、近々銀座Nikonは閉鎖されるとの事。唯一Leica的な立ち位置に行けるメーカと期待していたが、どうもそれは無理そうだ。貧すれば鈍か。 写真はスマホで十分な時代。これから高級カメラは「モノよりコト」だと考えるのだが、なんとも驚かされた経験だった。